ランログ

ランニングのためのログと日記。

益田ミリという鋭利な才能

益田ミリ「ふつうな私のゆるゆる作家日記」を読んだ。

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益田ミリは不器用な人の味方です?


多くの人が気づいているだろうが、益田さんはそのゆるゆるなイラストに比して、描いているものはまったくゆるゆるでない。ましてふつうでもない。

まずそもそもの前提として、彼女には才能がある。そしてぶれない自信があり、大胆な行動力があり、将来設計できる地頭の良さがある。それが本書で明かされる。

彼女は学歴も、金も、確かな後ろ盾もなく、揺るぎない才能の力だけでのし上がった。対して、彼女の本のメインターゲットであろう不器用な人たちには壊滅的にそれがない。さらに自信も行動力もなく、ゆるく生きることができずに無駄に悪戦苦闘してる。

ゆるゆると謙遜さのなかに隠されているが、この本は成功者の自慢話みたいなものだ。これを読んで「作家でもゆるゆると生活できるなんて素敵」とか、「益田さんはふつうなのにすごい」とかの感想をいただくようであれば、相当な間抜け。ゆるゆる感で共感を誘っているが、共感なんかできようもない。ここに描いてあったのは、圧倒的な才能の話なのだから。

益田さんの本は、毎度そうであるが、社会に上手くなじめない弱者のペルソナを巧妙につかいながら、上手くやってる風の愚者を告発する。

だから読んでいてつらくなる。なぜなら私は断罪される側だから。体面上なんとかまっとうな社会人として見せてはいるものの、力を抜いてほのぼのしてても才能の力で抜きに出てしまう益田さんから見れば、ただのダサい凡人でしかない。もっといえば無能だ。

とはいえ、こういうセンスの塊の人からの視点で、急に肩の力が抜けたりするから、あ、俺無理してたんだなって気づかされたりする。

結果として、益田ミリに救われてしまうのだ。そして、救われたという事実だけで、彼女のことを仲間のように錯覚してしまう。ほんとはまったく違うのに。